ガーターベルトの夜
昨日は近所に暮らすローラン友、バル(46歳独身)の誕生日を祝った。前回3人で飲んだとき、フランスの結婚式で昔はよく見かけたという〈ガーターベルト下ろし〉の話になり。そういや、もうすぐバルの誕生日じゃない。贈り物はガーターベルトで決まり…!なんて素敵なアイディアだ!!と、ひとり浮かれていたのだけれど、結局これというものが見つからず、ガーターは次回のお楽しみに。
そもそも〈ガーターベルト下ろし〉って…!?
先週末、親戚の結婚式に呼ばれ、フランス西部の町へと遠出していたバル。
「ミオ、あのあたりの田舎ではまだまだガーター下ろし、健在だったわ!」
私も一度参加したことがあるが、伝統的なフランスの結婚パーティって延々朝まで続くのである。食べて飲んで踊って、さぁ一息ついたら、また食べて飲んで踊って…! バルの参加した結婚式も明け方5時まで続いたらしい(もちろん途中退散可能)。
ガーターベルトに話を戻そう。宴もたけなわ、場がひとしきり温まったところで、どこからともなく〈ガーター下ろし〉のシャポーが現れるという。客人の間を行ったり来たりするシャポー、次々に放り込むまれるおひねり。ちゃりんちゃりん、ひらりひらり。お金が投げ込まれるたび、花嫁はガーターを下げたり、引っぱり上げたり…。まあ、なんともフランスっぽい。古き良き時代の、開放的でおおらかな性って感じだなぁ。
あれはル・クレジオ原作の映画「モンド」だったか。やわらかな光あふれる初夏の森、八つくらいのちいさい男の子と女の子がふたり、走り回って遊ぶシーン。走りながら、どちらからともなくすれ違いざまにちゅっとキスして、それが可笑しくて大笑いしながら、ふたたび走り続ける。〈性の目覚め〉と呼ぶにはまだまだ幼い接触だけれど、それでもいたずらに笑う子供たちのちいさな高揚をこんなにさらりと描けるのだなぁ…と、あらためて〈性〉の捉え方、その表現の違いをしみじみ感じたのだ。
そこに来るとCMだって同じ。例えばあれはコーヒーのCMだったか。日曜の朝、バラ色のスリップ(と今でもいうのか?)を纏い、両手をベッドに括り付けられた中年マダム。〈ちょっと待ってて!〉と寝室を後にする夫。マダムの方は今か今かと夫を待ちわび、にやにや。ところが…キッチンで淹れたコーヒーがあんまり美味しく、ベッドに縛られている妻のことはすっかり忘れ一息つく夫。〈ねぇ、何してるのよ~!?〉妻の声で終わるCM。こういうのがざらにある(笑)日本じゃ無理なストーリーだけれど、これがちっともやらしくない。もちろん性にまつわる問題は、フランスにだってごまんとある。それでも健全な面だけ眺め比較するのなら、性的なことがらに対するそもそもの姿勢が、日本のそれよりずっと自然な気がする。生命力の発露のひとつ、みたいな。表で行水しても事件にはならず、しきりに春画が描かれた江戸時代のおおらかさと、どこか相通じるものがあるような。
さてさて、ガーターベルトの代わりに用意したプレゼントは…??
黒い透け透けレースのキモノ風ローブに、おまけのお茶目なピン・バッジ。ハート形の覗き窓のついた白い扉を開くと、中で男性がシャワーを浴びてる、というもの!
「もう、どこでこんなの見つけたの? ホントいたずら好きなんだから!!」
と、バルは大笑い。楽しんでくれてよかった。つらいニュースにも明るい笑顔を絶やさない彼女。素敵なことがいっぱいやって来ますよう…!!お誕生日、おめでとう。
PS
彼女にプレゼントしたのと同じシリーズのバッジを私も購入!!ぶら下がっているのは、もちろんローラン。すごくお気に入り!
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