2019年はアヴァンチュールな年

 2017年6月9日、晴れてメオトとなったローランと私。フランスは役所で簡単な入籍式をするのが決まりで、つまりはお役所の都合と擦り合わせねば入籍も出来ない。日本みたいに好きな日の、ましてや好きな時間にハイ、入籍!とはいかぬのです。よって私たちの入籍もまずはお役所とランデ・ヴーから…というわけで、昨年申し込みに行った際にいわれたのが

「う~ん、一番早くて6月7日ですね。」

 じゃあ、その日で…と早速予約しようとするローランに、ちょっと待った!

「6月9日は空いてますか?」

「ええ、大丈夫ですよ…」

「じゃあ、その日で!!」

 なんで9日?と、大きな目を丸くするローランに

「だって69よ?ゲンズブールの〈69年はエロティックな年〉じゃないけれど、6月9日、エロティックな日に決まりよ!」

 と、晴れてエロなカップルが誕生したわけです(笑)そうして月日はめぐり、我がフランス滞在も丸2年。今年は南仏の養父宅でクリスマスを過ごしてきました。今では養父との関係もぐっと縮まり、会えば〈ミオ、大好きなお義父さんに会えてうれしいだろう?〉と養父自らのたまう始末!年越しは地元の友人たちに招かれている―ということで、甘いものが大好きな養父へチョコレートとマロングラッセ、さらにはジンジャークッキーボーイ柄のトランクスを携え、クリスマスだけ一緒に。そんな滞在中、養父宅にあった雑誌をぱらぱらめくっていると、〈2019年星座占い〉発見!曰く…

〈2019年蟹座のあなたはまさに誘惑100%の1年になるでしょう!花々の合間を飛び交う蝶のごとく、恋の火花に身を焦がしてはあっちの腕にもたれたり、こっちの腕でうとうとしたり…。どれだけ動いても常にエネルギー充満、疲れ知らずの1年となることでしょう。年半ばには野心的な一大プロジェクトに打って出ることとなり、満足のいく結果が得られるはず…〉

 何ですってぇぇぇ~!きゃぁ~~!!ローランの隣で音読しながら、思わずニヤニヤ。

「ミオ、少しはよろこびを隠しなさい!」

 と苦笑いしつつ、ローランがぷっと吹き出すので、なぁに?と聞くと…

「ううん、つい想像しちゃった。帰宅するなり、ミオが〈あ~!今日も激しく愛し合ってきたわ。おかげでクタクタよ。ねぇローラン、悪いけどお風呂入れてくれない…?〉っていう姿!」

 ふたりで大笑い。まあ、こういうのは想像上だから面白いのだけれど、ローランの想像した浮気なミオ、わからんでもないわ。そうなると私、ねぇねぇ聞いて!といわんばかりに、アヴァンチュールの進行状況を逐一ローランに報告しそう(笑)ジ・エゴイスト。おまけに旅のお供にとトランクに詰め込んできた森茉莉の〈枯葉の寝床〉を期せずして久々に読み返したばかり。その中に〈強力な保護者の存在を背後にはっきりと感じさせる少年の、浮気心の動揺〉なる一節があり、読んだ途端、私の中にも眠っているある種の軽薄さを見事に指摘された気がしないでもなかったり…!嗚呼、強力な保護者=ローランよ、2019年もどうぞ、私をしっかりと捕まえておいてくださいな…!(笑)

 そんなこんなでパリに帰り着くと、思わぬメールあり。うまく転べば面白そうな流れ…!で、しばし経過観察。というわけで、2019年は〈アヴァンチュール〉の年と相成りそう。いえいえ占いを真に受けはしないけれど、〈アヴァンチュール〉は色恋沙汰に限らず、本来〈冒険〉って意味ですからね。迷うことなく、真っ新な心でどんどんアヴァンチュールしていこう…!、もっともっと人生に恋をしていこう…と、年も明けないうちから心あらたにしている所在です。

 みなさんはどんな1年だったでしょう?うれしいことも、さびしいことも2018年はあと2日で、もうお終い。また気分をあらたにめいっぱい美しい1年、満ち足りた1年を夢見、描いていきましょう。今年もお世話になりました。来年もどうぞ、よろしく。

 冬空のパリから、愛を込めて―。

ミオ

〈追伸〉

同じ蟹座のK姐、2019年、千々に乱れるあなたの恋物語、多いに期待しています…!


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