あなたが母国に望むこと

パリ市主催のフランス語講座に登録した。

講座に通ってのフランス語学習なんて、2017年に渡仏した時以来!!

まあ、毎日が勉強だし!といえればいいのだが…

いかんせん怠け者のわたしのこと、

知らない単語を引いてふんふんと納得しても、その場で忘れてしまうことしきり!

学習と呼べるような行為からは長く遠ざかっていた。


ところで、このパリ市主催の語学講座、

実はこれまでにも何回か申し込んではいるのだけれど、

いかんせん受講希望者が多く、毎回抽選に落ちていた。

そこで今回は申し込み願書の備考欄にも

「今度こそ、こちらの講座で学べることを強く期待します!!」と、その旨しっかり記載。

一念が通じたのか否かは不明だけれど、晴れて受講と相成った。


初日の昨日はレベル確認のための簡単な小テスト。

テストは三ページで、いずれも課題に沿って作文を書け、というもの。

①旅行サイトに載せる体で、あなたの記憶に残る旅について書け

②友人にアパルトマンを貸したところ、帰宅してみるとひどいありさま。

 部屋は散らかり、おまけにTVや洗濯機も故障。抗議の手紙を書け

③最近あなたの暮らす地域の治安が悪化。地域見守りの会に参加することに…

 会を代表して市長宛に早急な対応を希望するメールを書け


③に取り掛かったところで徐々にわたしの悪い癖、悪ふざけが出てしまう。

地域の現状を訴え、自分たちも手を尽くしたことを簡潔に説明し、

あとはもう行政の手を借りるほかないと断言。

ついてはまず自分たちの会に参加して一緒に現状確認をしてほしい、

毎週月曜ならいつでも受け入れ可能…云々

ここまで書いたところで、ニヤリとペンをあらたに握りしめる。


『 あなた様に連絡させていただくのは、これが二回目です。

  もし今回、一週間以内に何らかの回答がいただけない場合、

  ことの経緯をジャーナリストに報告する心づもりがありますことをお忘れなく…

  迅速な対応に前もってお礼申し上げます。

  敬具 』


帰宅してローランにいうと、

「それは依頼ではなく、脅迫だ!!」

「だってその方が面白いじゃない」

とまあ、わたしの駄文はいいとして、その後の面接の質問が面白かった。

ひとり5分程度の面接は最初にまず生徒の国籍を確認し、

母国でどんな仕事をしていたか、いつ来仏したかなどのやり取り。

ついで「あなたが母国に望むのは?」と、いきなり会話は飛躍する。

「え?わたしが日本に望むこと?」

「そうそう、日本の未来に望むこと」

ゆったり語り合うならいくらでも、それこそ際限なくあれもこれもと挙げられるけれど…

「大地震、大災害が起こらないで欲しいというのがまずひとつ」

「あ、そうだねぇ…」

「それから社会保障の充実ですね、特に子供と老人のための」

「え? 日本は社会保障が不足してるの?」

「もちろん基本的な社会保障はあります。

 ただ、これはわたし個人の印象ですが…フランスのように簡単には受給できない」

「確かにここでは保証を受けるのは難しいことじゃない」

「そうですよね? 

 さらに日本では助けを求めることを許さない、良しとしない、

 自己責任というメンタリティが社会の根底にある気がします」


と、ここでタイムオーバー。

まあ、この話題に関しては簡単に援助を得られるせいで、

制度を悪用する者が出て来る…という、本末転倒な現象ももちろんあるのだけれど。

それでもその悪循環を踏まえた上で、わたし個人はやっぱり

『困った状況にある人が臆することなく助けを求められる社会』

『助けを求めた手をしっかり握り返してくれる社会』の方を選ぶ。

とはいえ、これはあくまでもイメージだ。

フランスにだって、かき消され、聞こえないことにされている声は挙げればきりがないだろうし、

日本にだって、より広く公正に速やかに支援の手を行き届かせようと日々奮闘している人々がいる。

都合3分で終わらせるには大きすぎるテーマではあるのは間違いないけれど、いい質問だと思った。

多国籍が集まる講座だもの、回答もバリエーションに富んでいるに違いない。

いながらにして世界の事情を聞きかじれるのだから、

わたしも他生徒の回答を聞いてみたかったなぁ…!

というわけで、しばらくの間、週に一回フランス語講座に通うこととなりました。





1コメント

  • 1000 / 1000

  • 日々の音

    2023.10.03 23:01

    Mio ちゃん、考えさせられる質問だなあ。三つ目の答え、いいね😆