まどろむ新年
新年あけましておめでとうございます。
ってもう、1月も後半だけれど!
去年は家にこもったまま(といっても大抵こもっているが!)
友達と書き物チャレンジをして、それがいっこうに気が乗らず、
机に向ってはいるけれど悶々としたまま、合間合間にお酒を飲んでみんなではしゃいで
あっという間に暮れてしまった…
年末にはクリスマス、大みそか、その合間に泊まり客があったりで
長時間キッチンに立ち大いに料理して、
それはそれでみんなも喜んでくれるし、楽しい時間だった。
食いしん坊の友人Bが
「羊肉のオレンジソース、はじめて食べたけどすごく美味しくて、みんなに話した!」
といい、大みそかにはお寿司の残りを嬉々として持ち帰っていった。
細いからだで毎回きれいに平らげてくれるので、
次には何を食べさせてあげようと、ちょっと母親みたいな気持ちになる。
Bはひとつ年上の独身で、最近になってもうパートナーはいらないといい出した。
「今でも充分満足してるから」
「そうね、自分が幸せならそれでいいわよね」
「満足していることと、幸せは違う。完ぺきに幸せではやっぱりないわよ」
大みそかにはここに三十代半ばの韓国女子が混じり、結婚や子供談議に花が咲いた。
「子供なんて全然興味なかったのに、三十過ぎたら自然に目が子供を追うようになったの、可愛いなぁ…って。あれ、本当に不思議だったわ」
と、わたしがいうとBも同じだという。
それでもBもわたしも、何としてでも子供だけは産みたい!心境には至らなかったし、
わたしに関していえばそもそも子育てに向いているとはいいがたいので、
特に後悔はないのだが。
一方、そろそろ結婚も考えたいし、子供も欲しいと語る三十代独身Nは、
去年オープンしたばかりの韓国×レバノン料理店の経営に孤軍奮闘していて、
2年内に2店舗目を持つのが目標だという。
「その目標掲げてる限り、向こう2年は結婚や出産って難しくない?」
エネルギッシュで猪突猛進ガールのNに笑うと
「確かに!わたしの性格じゃ絶対に無理よね!? あ~、仕事に集中するしかないのか…」
と、今更ながら目をパチパチさせた。
「こんなによく眠ったの、本当に久しぶり!」
翌朝、Nが晴れやかな笑顔で笑い、息抜きしたくなったらいつでもおいでと送り出した。
ふたたびローランとふたりきりになった2日の夜、
ふと思い立って前からやりたかったペーパーマッシュに取り組んでみた。
古雑誌をびりびり破り土台をつくったら、またぺたぺたと貼って。
ちょっと荒いつくり目にしてみたかったので、素朴な感じであたりを取り、
一週間ひたすら乾くのを待ってペイントして―、久々に楽しい工作時間を過ごした。
出来上がりの画像を妹に送ると
「あらあら、ミオちゃんいつのまに産んだの? 妊娠してるのも知らなかったわ!!」
そういう妹は去年晴れて2児の母になった。
「あ、そういえば今年は新年の占いすら見てない」
「わたしも!」
「たまには占いとかしてみたいなぁって思うけど、今じゃもう占いたいことがないんだよね」
「わたしもそう。お互い今に満足してるってことだね。ありがたいことに…」
ソファの上、すっかりくつろいだ様子でうたた寝するローランを見ると、
向田邦子さんのエッセイを思い出す。
酔っぱらって上機嫌な父と、その父にお酌する母。
精魂込めて育てた鉢植えが大きな花を咲かせたように、
そのとき父を見つめる母の眼差しは満足げに潤んでいたという。
自分も今、そんな目をしているんだろうな、
寝返りを打つローランの隣でわたしは甘いため息をつく。
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