ファンキーな土曜日

 年末が来れば、Paris暮らしもとうとう2年!早いわねぇ。
 この2年の間、ちょっと不自由していたことのひとつが美容院。いつかどこかで読んだことば、〈悩める女に必要なのは優秀なカウンセラーより、腕のいい美容師〉に激しく同意する私にとって(別に悩んじゃいないけど!)、良き美容師にめぐり会えるか否かは結構重要な問題なのだ。だってね、お洒落は人のためならず! 自分の気分を楽しくキープ、もしくは演出するために美容院がある、と私は思う。ことショートヘアの私にって、貴重なエネルギー・チャージ、もしくはエネルギー・チェンジ・スポットともなる美容院。テクニックがあって、こっちのノリ、センスを的確に理解してくれて、さらには行って気持ちのいい空間…となると、中々に難しいのよ。というわけで、すっかり美容院ジプシーと化していたこの2年。が、この度、とうとう見つけました!私のParisの美容院!その名もロックヘア!

(写真はネットから拝借!)
 見ての通り、窓辺も店内も、ジャンクな品がごちゃごちゃ並ぶファンキー空間!加えてこの店名。ネットで写真を見、店の名前を確認した時、〈ここだ!〉と叫びましたとさ(笑)ローランにいうと、〈知ってる、その店!ウィンドウに変な人形がばあぁっと並んでる、変わった店だよ!〉
 そうして行ってきました、土曜日。スペインのアルモドバル監督の映画〈神経衰弱ぎりぎりの女たち〉に登場するマンボ・タクシーを彷彿とさせる店内、期待を裏切らぬキッチュ空間(笑)

 当日私のカットを担当してくれたオーナーらしきお姉さまドミニクが、やはりチャーミングな女性で…。パリに来てもうすぐ2年経つけど、ネットでここの写真見てピンと来て…と話すと、
「とうとうあなたのHOMEを見つけたのね!何でもありのデコレーションでしょ?」
 と、くすくす笑い、ささっと希望どうりのパンクなヘアスタイルに仕上げてくれました!すっかり満足して鏡の中の自分に微笑みかけていると、
「そうそう!この笑顔!この笑顔のために、働いてるのよ、私。8歳の頃、私の頭はいつも爆発してて、ちっともイケてなかった。友達もみんなそう。で、決心したの。大きくなったら美容師になって、みんなをキレイにしよう!って…」
 もうちょっとこっちを短くして…のお願いにも、快くOK。
「大事なのは自分がどうしたいか、あなた自身がしっかり心得ていること。こちらから見てお勧めできなければはっきり言うわ。でもね、まずはあなたがどうしたいのかを明確にして、きちんと伝える。それがとても大切よ…」
 そうよね。ヘアスタイルだけじゃない。人生、何だってそう。また来るわ、ドミニク!

 すっかり軽くなった頭でローランの待つカフェへ。それからふたりぶらぶらと歩いていると、ジャン・フランソワのアトリエ(?)付近。昨年の冬に出会ったジャン・フランソワ、何をしているのかよくわからない、とりあえずアーティスト風の彼。通りに面したアトリエ兼自宅を毎週土曜開放し、彼のつくる木工オブジェ?を囲みながら、お手製のスープをすする…という〈スープの会〉を開催。彼の場合、アーティストといってもいわゆる〈ぶっ飛んだ〉タイプではなく、生真面目さ、不器用さがちらちら見え隠れする、ちょっとだけ社会からズレたタイプ。そのジャン・フランソワと久々に再会し、しばしお喋り。同席していたのは自転車で旅をしているという、愛想のいい若い男の子2人組の他に、ジャン・フランソワよりちょっと上、60代っぽいカップル。このカップルのおばさまの方が小鳥みたいに小柄で、スキン・ヘッドに全身タトゥー(頭までびっしり!)、黒いライダース・ジャケット!と、文章にすると中々スパイシーだけれど、普通に大人しいのよ、これが(笑)ひとしきり、ジャン・フランソワの朴訥なしゃべりに耳を傾け、じゃあねと手を振り、最後は例のギャラリー兼魚屋、シャルリーのところへ!!行くとシャッターが降りていて、夜は16:30から営業と看板。もう、そろそろよね…とにらめっこしていると、
「何だい、何だい、今開けるよ~!」
 と、ぷりぷり腰を振ってシャルリー登場!(ちなみに可愛らしい太鼓腹の彼、ゲイです)
「来てくれてよかったよ、連絡しようと思ってた…実は…」

 いつになく深刻な顔。お客をさばきながら語り始めたのが、なんと、店舗が入っている建物のオーナーがこの度リタイヤ生活に入るため、建物そのものを売却することに決めたそう。ついては店を買い取らないかともちかけられたが、予算外の値段だったため不可能。現在、店の存続自体がどうなるかわからない状態―と。場合によってはここをたたみ、移らざるを得ない…。この11区で市民アドバイザーとして、区の文化事業にも積極的に参加していたシャルリー。
「そういうわけだから、どうなるかわからない。うまく行けば新オーナーの元、店を続行できるし、その時はもちろん展示しよう。ダメなら、同じ11区のレストランで展示できるよう取り計らうからね…」
 いやいや、私の展示なんていつでもどこでもやろうと思えば自分で動けるんだし…!そんなことより、何より、彼自身不安だろう…。
「ここしばらく、すっかり家にこもって悩んで…。そんなんじゃダメだ、気分転換しろ!ってみんなにいわれてね。だから、羽目を外してくるよ!!今晩、バーレスクのショーをやるんだ!」
「ショーをやる?あなたがやるの??」
「そうさ。アクセサリーじゃらじゃらつけて、ストリップ・ショーやるんだよ!良かったら見においで~!」
 うわ~~そりゃあ見たい!私、バーレスク大好きだし~~!!と勢い込んで別れたものの、一度家に帰ると怠け者のふたり、すっかりお尻に根が生えて、結局は家でだらだらと食前酒を舐め、おつまみを貪り、シャルリーから購入したカツオで拵えた〈づけ丼〉に舌鼓を打ち…、残念ながらシャルリーのショーは見に行かず。
 とまぁ、ファンキーな土曜の夜が更けていったのでございます。どうか、シャルリーが無事にお店を続けられますよう…と祈りつつ、それにしても気分転換にストリップ・ショーをやってのけるとはさすがだな…!!と感嘆。ああ人生、このくらい開き直って、遊んでいかなきゃ!!もっともっと楽しくなるよう、自分から攻めていかなきゃ、と志を新たにした夜でした。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • Mio

    2018.10.10 10:07

    そうよねReiちゃん!もっともっと遊び尽くそ~~!!
  • 日々の音

    2018.10.07 22:10

    遊びをせんとや 生まれけむ 戯れせんとや 生まれけむ 人生、楽しんだもの勝ちね♡