ニュー・ワールドよ、こんにちは!
〈ミオ、元気?今、ドイツにいるんだ。27日にパリに着くから、良かったらその日に会わない??〉
ん?ドイツ??
来年から北米へ移ると宣言し、韓国へ一時帰国していたJからのメール。何はともあれ、了解!ソフィアも誘って、みんなでごはん食べよう!
「あ、ドイツ人の友達もつれてくるから…」
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ドイツからの飛行機が2時間遅れ、ようやくシャルルドゴール空港に着いたかと思えば、今度は拾ったタクシーが高速の真ん中でパンク!!と、相変わらずのドタバタ劇を繰り返し、レピュブリック広場に着いたJ。迎えに行くと、ひょろりと背の高い、青い瞳の可愛らしい青年とJがふたり、ちいさなトランク引いて待っていた。
「わぁ~!久しぶり!!元気だった~?」
「会えてうれしいよ~!紹介するね。こっちはマーク。彼、フランス語できないからね」
「よろしくね!!私は英語が苦手だからね(笑)」
ローランとソフィアが待つカフェへ歩きながら、〈ねぇねぇ、マークって恋人なの?〉といたずらっぽく問うてみる。
「うん、そだよ。韓国で出会った」
ウン、ソダヨ。韓国デ出会ッタ…!??ものすごーく普通に返された…が、何ですって~~!あなた!! 1年前は男に興味なんかないっていってたじゃないのぉ!もう、もうもう!!(笑)
「わ~お!!素敵!ふたりの物語、ゆっくり聞かせてもらわなくっちゃ!!」
佇まいやちょっとした反応が女子っぽいJ。嗚呼、やっぱり辿り着くべきところに辿り着いたか!!マーク、中々の好青年じゃないの。その上、J好みの美形と来た。
「マーク、可愛いわね!」
こっそりつぶやくと、
「ホント!?ありがと!でもちょっと、痩せすぎじゃない??」
何をいってるんだか(笑)とにもかくにも、素敵な恋を捕まえたみたいで、姉はうれしいわ~!!というわけで、昨夜は久しぶりのJとその恋人マークを囲み、楽しくごはんを食べました。イタリアンでお腹いっぱいになったあとは、アイスクリームを買ってサン・マルタン運河までぶらぶら。運河脇に腰を下ろして、ふたりの恋物語に耳を傾ける。
欧米と韓国を結ぶFB上のグループに登録していたというJ。帰国中、見知らぬマークから〈近々韓国へ旅行に行くので、良ければソウルを案内してもらえませんか?〉とメールが来たのがはじまりだそう。
「会ってみたら、楽しいしやさしいし…。そう、彼、周りの人にやさしんだよ。ピュアっていうか。その辺、ちょっとローランに似てるかも!」
あらら。ありがとう!!
「でもね、ボク、彼と出会う前にアメリカの美術学校から、書類審査OKの通知をもらってたんだ…。彼はドイツに残って、こっちで学校へ通えばいいっていうんだけど…まだ迷ってる。また一からドイツ語の勉強はじめて―って、考えるとね。いずれにしろ、アメリカの学校に行くんなら、来年1月に渡米すればいから、もう少し時間はあるし…」
まだ22歳だもんなぁ…。そりゃあ迷うわ。恋愛経験、人生経験、それなりに積み重ねて出会ったオンリー・ワンなら、大胆な進路変更もアリだけど、そうじゃなければやっぱり迷うだろうなぁ(とはいうものの、私は見境なく飛び越える質だけど…!)ましてや、Jみたいにこれから!って時なら、なおこと。このままドイツに残ってボクの人生どうなるんだろ?、いくら好きでもそう考えちゃうだろうなぁ…。それにマーク、Jにとっては人生お初のボーイ・フレンドである。
「マークはね、〈アメリカ行ってもいいよ。でも君がいなくなったら、ボク寂しくて死んじゃうよ〉って…!」
なんてスィート!目をとろんとさせてJの話に聞き入っていると、
「ホントにミオ、この手の話が好きなんだから!!」
と、ローラン。
ふと見ると、夜勤明けでパリにやって来たというマーク、大あくび。この辺でお開きにしましょうか。ふたりをメトロまで送る。
「しばらくドイツにいるんなら、また連絡してね! マーク、いい人ね。紹介してくれて、うれしかったわ!」
「マーク、いい奴だと思う??」
「もちろん。何回もいったじゃないの」
「ええ~、もっと感想、聞きたい!!ねぇねぇ、どう思った…??」
ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ。
「ハイハイ、おふたりさん!続きは電話で!!マークは疲れてるんだから!!」
と、外野からヤジが飛ぶ。じゃあね!今度こそ、ふたりを見送って、ソフィアがぽつんとつぶやいた。
「まったく、Jったら。やる時はやるんだね!!あんなキュートな男子を捕まえるなんてさ!!」
ふふふ。先のことはどうなるかわからないけど、幸せそうで良かった。J、人生の新たな扉を開けたんだね。おめでとう。一度限りのこの人生、思い切り自由に、自分らしいデザインで生きていこうね!!わ~!!私も、もっともっと生きてること、この瞬間を楽しまなくっちゃ~!!!何だかすごくうれしくなって、ソフィアとローランの手を取った。3人、肩を組んで、夜の街を歩いた。
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